Neutrinoで働くブロックチェーンエンジニアのブログ

渋谷の専門特化コワークNeutrinoに入居してブロックチェーンエンジニアとして働いています。元丸の内。(Neutrino運営企業とは直接関係ありません)

「徹底理解ブロックチェーン ゼロから着実にわかる次世代技術の原則」をご恵贈いただきました

株式会社インプレス様より、「徹底理解 ブロックチェーン ゼロから着実にわかる次世代技術の原則」(原題:「Blockchain Basics: Anon-Technical Introduction in 25 Steps」著:Daniel Drescher)をご恵贈いただきました。

原著は「Banking」や「Storage & Retrieval」といった米Amazonのカテゴリーで上位をとった人気な本のようです。

感謝の気持ちを込めてご紹介しようと思います。

本書のコンセプト-「ブロックチェーンの技術的な土台を概念的に説明する」

著者のコンセプトとして、「ブロックチェーンの技術的な土台を概念的に説明する」という事が示されています。

かなりそのコンセプトが色濃く反映されており、ビジネス書としてのブロックチェーンよりも技術的な要素を説明しており、かといって技術書のように単体技術を深く掘り下げるのではなくなるべく広く対応しています。

このコンセプトから、プログラムコードや数式は一切出てきません。ただし、エッセンスとして必要となる技術的な要素を言葉で説明しています。

例えば、第1章「ブロックチェーンの目的と可能性を探る」では分散型システムのアーキテクチャとして集中型と比較したメリット・デメリットの要点を伝えています。

メリットとして、

「計算能力の高さ」、「コスト削減」、「信頼性の高さ」、「自然に成長する能力」

などがある一方で、

デメリットとして

「協調・通信のオーバーヘッド」、「ネットワークへの依存性」、「プログラムの複雑化」、「セキュリティの問題」

などをあげています。

書き振りはBizDev職などの非エンジニアの方からすると、技術的なワードとして深掘りされているように感じ、ブロックチェーンで要素技術に触れているエンジニアからすると、体系だって頭の中の経験や知識が整理されるように感じるのではないかと思います。

分散型システムアーキテクチャだけに限らず、トランザクションハッシュ値、暗号化、データ構造、システムの完全性、分散コンセンサスなどを概念的に説明する事を挙げています。なお、敢えてブロックチェーン一般の話に限定しており、個別のブロックチェーン(Ethereumなど)や、個別通貨の言及などは出てきません。

私自身、読んでいる中で、個々の技術要素が体系だって整理、総合され、頭の中でインデックスが振られていく感じがしました。

本書の構成-5章の段階構成

本書は5つの章と、25の小項目に分かれています。 以下5つの章に分かれており、ブロックチェーンの基礎を段階的に学べる内容となっています。

  1. ブロックチェーンの目的と可能性を探る
  2. ブロックチェーンはなぜ必要か
  3. ブロックチェーンはどう機能するか
  4. 制限とその克服方法
  5. ブロックチェーンの活用とまとめ

1~2章は、ブロックチェーンの全体像を俯瞰できる章です。分散システムの利点欠点などを示した上で、ブロックチェーンの位置付けを示しています。

3章は具体的な技術の説明となっており、ハッシュ関数、マークルツリーなどと言った概念がどのようにブロックチェーンの仕組みを形作っているのかを小さなステップで1つずつ説明しています。数式やコードが出てこないとはいえ、ブロックチェーンに慣れ親しんでいない方は、ゆっくりとした読み進みになるかもしれません。

4章では、現状のブロックチェーンの制限と、ビジネス利用の障害について書かれています。「ブロックチェーンが夢の技術」のように語られる文脈もある世にある中で、冷静に問題提起をしています。

5章では、ブロックチェーンの特性や向いている応用方法、4章であげられた現状の問題解決に向かってどのような動向が起きているかを示しています。

全体の感想

ブロックチェーンについて、「ビジネス書やBizDev業務だけでは技術的な腹落ち感があまりない」あるいは「技術書だけでは総合的な作用関係が把握しづらい」という方に対して、ビジネス書あるいは技術書の副読本として優良な本だと思いました。

「内容」の章で書いた事を繰り返しますが、「技術的な土台を概念的に理解する」というコンセプトが色濃く反映されている本だなと。

図にしたらこのような位置付けだと思います。

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また、位置付け的に、

  • BizDevと体系的に技術を整理して会話する必要があるエンジニア
  • エンジニアと技術要素を概念的に理解して会話する必要があるBizDev

の方は一読しておくとコミュニケーションに活かせそうだとも思いました。

300P程度の薄い本ではあるのですが、書かれていることはかなり幅広く、また技術要素の説明も含むため、文字数に対して情報量のある本だなと思いました。特に3章の具体的な技術の説明についてはそのように感じます。エンジニアの場合、記述についてより具体的な説明が欲しいときは、「Mastering Bitcoin」などの技術書やサトシナカモトの論文も併用すると読む一助になりそうです。

個人的には、本書の中で出てくるブロックチェーンは仲介者という役割をなくしてしまうのではなく、ブロックチェーン自体を厳正なルールに従うデジタル仲介者として確立する」の一文がしっくりきました。DEXとかまさにそうだなと。

購入検討される方は一度、書店などで手に取るか、Amazon Kindleの試し読み(2章のはじめまで読めました)で雰囲気を感じ取ってみるとよいかと思います。(洋書の独特さは少しありますので)