今回はブロックチェーンとは少し離れた投稿になります。チーム開発をする中では、コーディング同様に文章を書く機会がかなり多くあります。僕はITコンサル(兼エンジニア)からキャリアを始めました。システムは実装する仕様を明確にする必要がありますが、口頭でミーティングをした後クライアントや他チームと実は認識相違があったという事などよくあります。そのため、口頭での意思疎通後に議事メモやメールなど、文章で明確に合意をしてエビデンスとして残す進め方をよくしていました。
僕自身も未熟ですが、意思を伝えるための文章力を早めに訓練してよかったと思った機会は多くあります。論理的にものごとを考え、なるべくわかりやすく表現して伝えるために役立った書籍を何冊か紹介します。
日本語の作文技術
- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2015/12/07
- メディア: 文庫
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新聞社一年目が読む日本語の本です。助詞の使い方、句読点の使い方などが学べます。本書では、分かりづらい例として例えば以下の文を紹介しています。
厚手の白い横線の引かれた紙
こちらは「厚手の」、「白い」、「横線の引かれた」と3つの言葉が「紙」に修飾されていますが、「厚手の」が「白い」、「横線」などにかかっているのではないかと一瞬戸惑います。このような状況でわかりやすくするために、「節(一個以上の述語を含む複文)を先にして,句(述語を含まない文節)を後にする」という原則を紹介しています。この場合、節は「横線の引かれた」となりますので先に持ってくると、
横線の引かれた厚手の白い紙
となります。元の文章よりもわかりやすくなりました。このようなテクニックがいくつも載っており、数個覚えておくだけでも有用です。
- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2019/04/05
- メディア: 単行本
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なお実戦編も刊行されています。
考える技術・書く技術
- 作者: バーバラミント,Barbara Minto,山崎康司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1999/03/01
- メディア: 単行本
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コンサル一年目が読むロジカルシンキングの教科書です。意思を伝えるための文章力を構成する骨子は論理的であることです。物事を論理のピラミッドに分解して考えるためのテクニックが載っています。ピラミッドの縦を構成するための、主張があった時に「なぜ(Why?)」を掘るための論理、事柄があった時に主張を導き出す「だから何(So What?)」を出す技術。ピラミッドの横を構成するための「モレなくダブりなく(MECE)」の技術が載っています。
ロジカル・プレゼンテーション
ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
- 作者: 高田貴久
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2004/02/01
- メディア: 単行本
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「考える技術・書く技術」は考え方の基礎となりますが、それをより実践的なプレゼン手法として感じられる一冊です。ピラミッドストラクチャーをベースとしつつ、縦の論理、横の論理として論理的思考力を分解して技法を紹介しています。
提案の技法についても、「目的把握」、「論点精査」、「仮説構築」、「検証」、「示唆」と5つのステップに分けて紹介しています。特に仮説と検証については深掘りされています。またストーリーを織り交ぜながら話が進むため、抽象的な論理的思考技法を具体的な方法に落とし込むイメージをつけられる一冊になっています。
上記3冊を紹介しました。どれも読んだのは5年以上前ですが、いずれの書籍もまだ現役で使えます。特にエンジニアで文章の基礎があると重宝される機会が多くありますので、手に取っていただけると幸いです。