プロダクトマネジメント関連の相談をいただくことが徐々に増えました。
特に新しい職種であるため、業務範囲がどこからどこまでなのか、という話の相談を受けます。
プロダクトマネージャーの仕事は会社によって差異があり、かつ組織体によって差異があって良いものだと思いますが、私が思うプロダクトマネージャーの仕事を整理してみます。
プロダクトマネージャーの3つの仕事
結論からいうと、プロダクトマネージャーの仕事は
- プロダクトビジョンの策定
- ロードマップの策定
- 製品仕様(Product Requirements Document)の策定
の3点です。プロダクトが目指すべき姿、実現する内容を決めるのがプロダクトビジョン。目指し方を策定するのがロードマップ。具体的な製品仕様を策定していくのが製品仕様(Product Requirements Document)です。それぞれ、抽象度と分量を表現すると以下のようなピラミッド型になります。
プロダクトビジョンの策定
プロダクトビジョンはプロダクトの目指すべき姿、実現する内容です。企業のミッション・ビジョンに即した内容で、プロダクトを通してどのような価値を実現するかを簡潔に表したものです。企業の外部・内部などプロダクトに関わる人に方向性を示すものとなるので、簡潔で、メンバーが熱狂できるものであることが望ましくあります。
例えば、ビジネスチャットツールの「Slack」では「皆さまのビジネスライフをよりシンプルに、より快適に、より有意義に」(英: Make work life simpler, more pleasant and more productive)を掲げています。
プロダクトビジョンはどのように策定するのか?という相談をいただくことがあります。最低限プロダクトのMVPが出来上がった状態で作る方が望ましいと思います。
具体的に私はインセプションデッキ を利用することが多いです。この中で「キャッチコピー」を策定する項目がありますが、製品の実現したい内容を一言で表すための考えとしては秀逸です。
ロードマップの策定
ロードマップは、プロダクトビジョンの実現に向けた道筋を定義したものです。過去、私もこちらで詳しく発表しました。SaaSの場合、腰を据えて取り組む必要があるのでテーマドリブンでロードマップを策定することを提案しました。
製品仕様(Product Requirements Document)の策定
具体的な機能仕様を作ることもプロダクトマネージャーの重要な仕事です。「Product Requirements Document」(PRD)と呼ばれる製品仕様書を作成します。これは多くのテンプレートが探せばあり、チームによって製品仕様書にどこまで書くかは異なります。
私の場合は「Why」、「What」、「How」の3点から分解してプロダクトに合うようにテンプレートを作成しています。
「Why」はユーザーストーリーに相当します。その機能を開発することでユーザーが何ができるようになるのか、を描きます。動画サイトにおける「動画のリコメンド機能」については「ユーザーが好みの商品を目に留められるようにする」ということになります。
「What」は開発する内容です。リコメンド機能の例で言えば、リコメンドの画面がユーザーにどのように映るのかの仕様や、どういう動線を作るのかのUI/UXに加えて、過去の購入履歴なのか、過去の閲覧履歴なのか、何をもととしてリコメンドを行うのかなど仕様に関係する部分を記述します。
画面について、Figmaなどのソフトを使って仕様定義するプロダクトマネージャーも多いのですが、「SPRINT 最速仕事術」によると「キーノートなどのスライドソフトで切り張りをするだけで十分」と書かれています。私も凝ったものを作るより素早く定義する方が大事な局面が多いという経験則もあり、スライドソフトで作ってしまうことが多いです。
「How」は開発手法です。「プロダクトマネージャーの仕事はWhy、Whatにフォーカスすること」と言われているため、Howについて深く書くことはあまりありません。私にエンジニアのバックグラウンドがあるため開発において気をつけることや、イメージするERDの定義などを記載するなど開発エンジニアとの意思疎通のために記入する程度です。開発中に気をつけることが出てきたら、エンジニアにメモ書きをしてもらう程度で良いかと思います。
まとめ
プロダクトビジョン・ロードマップ・製品仕様書の策定がプロダクトマネージャーの大きな仕事であることを見てきました。もちろん、プロダクトマネージャーはプロダクトビジョン実現のためになんでもするということが前提のため、ここに書かれていないことも出てくるでしょう。しかし、何から手をつけるべきかイメージがつかない場合、この分類を参考にして考えてみることが役に立てば幸いです。