SaaSベンチャーで働くエンタープライズ部長のブログ

SaaSベンチャーでエンジニア→プロダクトマネージャー→エンタープライズ部長として働いています。

HHKBにジュースをこぼした後のカスタマーサポート対応がとても良かった思い出

私はかれこれ6年、高級キーボードのHHKB(Happy Hacking Keyboard)ユーザーです。分離型キーボードを使ったこともありますが、持ち運びの便利さと打鍵の心地よさからHHKBをメインに利用しています。

2年前、蓋の閉まりが緩いままジュースのペットボトルをカバンに入れてしまいました。その中にはHHKBが。昨今の精密機械では、防水が施されていることは多いですが、糖分は内部基盤の腐食を進めてしまい、大体の場合壊れます。

乾かし、電池も入れ替えて試したところ、キーを1度押すと複数回入力されます。「HHKB」と押すと「HHHHKKBB」と表示。これは使うのが非常に辛い。糖分が粘着の問題なのか、基盤の腐食の問題なのか。粘着の問題ならクリーニングでなんとかなりますが腐食なら修理が必要です。

診断と問い合わせ

HHKBサイトで診断が依頼できることを見つけ、以下のように問い合わせました。

HHKBについて、キーを押すと複数回入力されるなど、動作がおかしいように見えます。ジュースがかかってしまったため、粘着の問題の可能性と、基盤の問題の可能性があるかと思い、診断をお願いしたいと思います。

1営業日後、返信が来ました。ほぼ原文ママです。

【回答】 HHKBに水分をこぼした場合は、電源Off、電池を抜いた状態で1週間から 10日程度放置し、十分乾燥させた上で復旧する可能性がございます。 (HHKB-BTは電池を装着すると電源Off状態でも微弱な電流が流れて います)

ただ、糖分を含んだものの場合、内部に残滓として滞留し、基板に浸食し、 接触不良、ショート等の不具合が発生する可能性が高いです。

キーボードの修理につきましては、弊社にて装置を診断させていただいた上で 対応を判断いたします。

簡易な調整・清掃で改善する事象につきましては、無償で対応を行い、症状の 改善後にご返却いたします。 簡易な調整・清掃で改善しない事象(部品交換が必要である・製品価格以上の 作業コストが発生する等)につきましては、修理ではなく有償による新品との 交換対応となります。 なお、PD-KB600Bはすでに販売が終息しており在庫もないため、 後継機のHYBRIDシリーズ(PD-KB800B)との交換になり、価格はXX,XXX円(税込) となります。 お客様の場合は、有償交換をご案内する可能性が高いと存じます。 (中略) ご検討の程、何卒宜しくお願い申し上げます。敬具

すごい。非常に頼もしく、勉強になるメールです。

まず、サポートのメールで

  • 具体的に自己解決できる可能性の解決策を提示されています。

HHKBに水分をこぼした場合は、電源Off、電池を抜いた状態で1週間から 10日程度放置し、十分乾燥させた上で復旧する可能性がございます。 (HHKB-BTは電池を装着すると電源Off状態でも微弱な電流が流れて います)

なおるかどうかモヤモヤしているので自分自身で試せる自己解決法を教えてもらえるとユーザー的にはすごく嬉しいのです。また、括弧書きで電源Offでも微弱な電流が流れているという、アドバイスの背景まで書かれていることも嬉しいです。

  • 可能性の高い事象について提示しており、顧客の期待値を調整していること

ただ、糖分を含んだものの場合、内部に残滓として滞留し、基板に浸食し、 接触不良、ショート等の不具合が発生する可能性が高いです。

可能性の高い事象を伝えてくれることでこちらとしても心づもりができます。サポート・会社の視点から見ても、悪い事象の場合を考えてここで期待値を下げてくれています。仕事ができる人だなと思いました。

  • 有償・無償の区別がはっきりしてくれている

簡易な調整・清掃で改善する事象につきましては、無償で対応を行い、症状の 改善後にご返却いたします。 簡易な調整・清掃で改善しない事象(部品交換が必要である・製品価格以上の 作業コストが発生する等)につきましては、修理ではなく有償による新品との 交換対応となります。 なお、PD-KB600Bはすでに販売が終息しており在庫もないため、 後継機のHYBRIDシリーズ(PD-KB800B)との交換になり、価格はXX,XXX円(税込) となります。 お客様の場合は、有償交換をご案内する可能性が高いと存じます。

簡易な調整なら無償(ここもマジで?)で対応、それ以上は有償の新品交換になる。また有償交換の値段もはっきり書いてくれているのが嬉しいです。ちなみに、この交換の値段は普通に新品を買うより少し安いです(公にのってないので具体の値段は伏せています)。ユーザーから見ると壊れた時点では「捨てる」、「新品を買う」くらいの選択肢に、「有償交換」という選択肢が増えたわけです。 この時点で問い合わせして良かったと思いました。

発送と有償交換

その後、発送して診断を依頼。やはり故障していたので有償交換を依頼しました。出費にはなりましたが、まるまる新品を買うよりは少し安い値段で新機種のHHKBを購入できました。それからも変わらず使っています。

ここ最近はコードを書くことより人と話したりすることが増えたので、使用機会は減りましたが、たまにコードを書くときや集中したい時はHHKBを引っ張り出して接続しています。

HHKBの使用感や品質が良いのはもちろんですが、その裏にあるサポートと、サポート品質を高めるためのオペレーションがとても洗練されているのだなと感じ、より製品に対する好感度が上がった思い出でした。

※この記事は、「HHKB×はてなブログ 特別お題キャンペーン」に基づいた記事です。

HHKBのここが好き!

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