SaaSベンチャーで働くエンタープライズ部長のブログ

SaaSベンチャーでエンジニア→プロダクトマネージャー→エンタープライズ部長として働いています。

ChatGPTを家庭教師にして論述模試で上位を取るまで

昨日、ITストラテジストという試験を受けて、ChatGPTを用いて勉強していました。

受けたITストラテジストという試験

私が受けたのはITストラテジストという、IPAが行う情報処理技術者試験のうち、高度試験と呼ばれる分類になります。IT戦略の立案という試験で、鬼門と呼ばれる午後Ⅱ試験では、2時間でおおよそ2000文字程度の論述を行う必要があります。

論述の問題を具体的に示すと、IPAによる2021年の過去問題ではこのように、「あなたの経験に基づいて、DXを実現する新サービス企画を書け」という内容になっています。

で、公式の解答例はというと実は出題要旨と採点講評くらいしかなく、解答例がわかりません。これはなかなか対策しづらいです。

ChatGPTに解答を添削してもらう勉強方法

流石に空を掴むような気持ちなので、参考書を買って概ねどういうことを書くべきなのか、論述構成はどうするべきかを学びました。

しかしながら実際に論述してみて、採点ができない。「あなたの経験を書きなさい」、という指示なので解答は私個人のものになります。大体こういう論点が網羅できているかどうか、とかは分かるのですが論理構成が適切なのか、きちんと書くべき内容を書けているのかなどが全くわかりません。

予備校に行って添削をしてもらえれば採点やフィードバックを受けることができるのですが、高いし時間もかかります。もう少しライトな方法がないかと考えている中、ChatGPTが出てきました。しばらく触ってみて、これは家庭教師に使えるのではないかと考えました。

まず、問題文をPDFから抽出して、ChatGPTに提供します。

問題文を提供した後、自分で書いた解答を投げてみます。 (※実際の経験をもとに、少しわかりやすいストーリーに改変しています)

以下のように感想とフィードバックをくれました。全体的にわかりやすいです。さらにその上でより良くするには〜〜ということで具体的に伝えてくれます。

第2問、第3問と解答を投げて、もらったフィードバックを反映させながら、自分の解答を磨いていくようにしました。「論理を繋がりやすくするにはこうしたらいい」というフィードバックがもらえることで学習効率が上がったように思えます。何より、「全体的によく書けている」とか安心させるための言葉を投げてくれるのでAIが良い教師として振る舞ってくれて安心感をもらえます。

学習した結果、本試験1ヶ月前にTACさんの模試だけ申し込んでみたのですが、以下のように合格ラインで234人中9位でした。合格率15%を考えると独学にしては悪くない数字です。(午前Ⅱ、午後Ⅰの順位は低いですが合格ラインでした)

(本試験はあまり手応えなかったです)

ChatGPTで対応できることと対応できないこと

ChatGPTで対応できることは、論述に対する論理性の添削、一般的な知識についてのフィードバックをくれることです。

例えば「SaaSの導入をアピールする場合、他にも顧客への利益を具体的に述べることでよりサービスの価値を強調することができます。例えば、導入時のシステム構築コストの削減や、リモートでのアクセスが可能になることなどです。」といったフィードバックをもらい、なるほどと唸りました。

対応できないことは、「試験に合格するためのポイントを抑えた論述」です。より正確にいうには、「あらかじめ受かるためのポイントをプロンプトで教えておかないと対応できない」です。試験には合格するために必要な論述ポイントがあります。これらのヒントは問題文内に隠されており、参考書で解説されています。これらのいわば「お作法」をChatGPTに共有しておくことで添削の質を高められます。

そのため、参考書はポイントを抑えるために必要で、具体的な添削やフィードバック相手としてChatGPTを用いるのが良いのではないかと考えています。(なお、月$20かかりますがGPT3.5よりGPT-4の方が良いという所感を持っています)

まとめ

ChatGPTで論述試験の対策を行いました。論述試験の対策というのは、予備校に行ったり、対策ができる教師が揃っている学校でなければ難しいなどハードルが高いものでした。

一方で、ある程度工夫は要るもののChatGPTを添削相手として活用することで、様々な事情で教育環境にアクセスしづらい人に対しても学習機会が拡がるチャンスがあるのではないかと思います。資格の論述試験だけならず、大学の小論文試験などでも学習相手として利用できると、教育アクセスの差が緩和されるのではないでしょうか。

ChatGPTは論述自体の作業などをさせるものでなく、自分自身の学習効率を高めるものとして使うことで有効になると今回感じました。